東日本大震災から約半年がたった頃、自宅に一通の手紙が届きました。
その手紙は警察署からでした。
父親の流出物が届いていると。
津波によって流された物の中でも身元がはっきりしているものは各警察署で保管されているらしい。
身分を証明した後しばらく待つと目の前に泥だらけのセカンドバッグが運ばれてきて。
それは父親の物でした。
「中身を確認して頂けますか?」と担当の警察官。
同時にゴム手袋を手渡され、中身を全て取り出して確認してみる。
銀行の通帳や印鑑、保険証券...。
間違いなく父親の物でした。
避難する直前に引き返した理由がこれだったんだと。
きっと大事なものだからと取りに戻ったのか。
こんなの無くても良かったのに。
そのせいで逃げる際に車ごと津波に飲み込まれてしまったなんて。
死んでしまっては意味が無い。
あの忌まわしい東日本大震災から11年と8か月です。
震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
そして被災されたすべての方に心からお見舞い申し上げます。