20歳の冬のある日、アルバイトをサボって滑りに行った時のことです。
宮城蔵王すみかわスノーパークに。
よく通ったスキー場です。
今では考えられませんがどこのスキー場もこぞってハーフパイプを常設していました。
スキー場によってハーフパイプのクオリティは様々でしたが、少しでもクオリティの高いハーフパイプで滑りたくてあちらこちらに滑りに行ったものです。
すみかわスノーパーク(当時はすみかわスキー場)は自宅から通いやすいゲレンデのひとつで、もちろんハーフパイプが常設されたスキー場でした。
と言っても、左右両方にとりあえず雪を寄せ集めて壁がある...そんなハーフパイプで...
いや、これってハーフパイプ?みたいな。笑
少しでも高いクオリティを求めるくせに、結局居心地のいいところに滑りにいってしまう。
駐車場からゲレンデの端っこをテクテクと一人ハイクアップ。
チケット代も支払わずにひたすらハイクして滑ってました。
タダで滑れれば居心地がいいように感じてしまってたのか。
さらにはリフト小屋からスコップを借りてきて、ハーフパイプの壁を手直しをしながら。
たった一人で。笑
勝手極まりない。
滑りに行くと決まって出くわすスノーボーダーが何人か居ます。
みんな自分よりも上手で年上っぽい感じ。
お互いに意識しあいながら(そう思っていたのは自分だけかも)も喋ったことも無い。
その日はスキー場の駐車場に到着してすぐに気が付いたことがありました。
財布の中身に不安がよぎり確かめてみると...
所持金ゼロ!
綺麗にゼロ、無一文です。
「どうせタダで滑るし、まっイイか」などと思いながらいつも通りに滑っていました。
ところが、朝飯も食わずひたすら黙々と滑っていると、あまりの空腹と水分不足であわや脱水症状寸前。
休憩も無く当然水分補給も無いまま滑り込んでいたせいか、気付いた時には遅かったようです。
ハーフパイプを滑り終えバインディングのストラップを外そうとした時、ふらふらと目眩を感じ、座り込んで動けなくなってしまう始末。
きっとタダで滑っていた罰が当たったんでしょう。
その時はそう思いました。
うずくまっていると、たまに見かける二人組のスノーボーダーがハーフパイプを滑り下りてきます。
当然彼らはリフト回しです。
声を掛けようかどうしようかと迷っていると、リフト乗り場まで滑り下りてしまう。
2度ほど繰り返した後に声をかけさせてもらいました。
「すいません、お金貸してください...」って。
どこの馬の骨だかわからない初対面の野郎に開口一番カネを貸せって言われる。
どんな気持ちだったんでしょう。
今思うと笑っちゃいます。
一方的に見かけたことがあるというだけでお金を借りるだなんて。
新手の詐欺か。
結果、事情を説明したらとても優しい方で1.000円を貸していただけました。
携帯電話などもっていなかった時代でしたから、名刺を頂きまた今度会った時に返してくれればいい...と言う仏のような有難いお言葉に甘えてお借りしました。
そのお金でレストハウスで腹ごしらえし復活。
午後は一緒に滑ることもなく...
なんだか恥ずかしくなりそそくさと帰ったような記憶です。
後日、再開した時にきちんとお返ししてそれがキッカケとなり仲良くなりました。
何がキッカケになるかわからないものです(言える立場ではございませんが)。
スノーボードが繋げてくれた縁。
その後2~3年ほどいつも一緒に滑るような仲となりましたが、彼の転勤で連絡を取ることが無くなり残念ながら疎遠となってしまいました。
あれから疎遠となってから25年以上が経ちますが、今はどうしているのでしょうか。
お元気でしょうか?
会いたいものです。